二次性頭痛
代表的な二次性頭痛
代表的な二次性頭痛には、くも膜下出血や脳腫瘍に加えて髄膜炎、脳動脈解離などの病気があります。これらの場合、なるべく早めに医療機関を受診し、根本的な原因をつきとめることが大切です。
ここではそれぞれの病気について説明します。
くも膜下出血
原因
くも膜下出血は、脳の表面を覆う髄膜のうち、くも膜の下に出血が生じる病態を言います。主な原因は脳動脈瘤の破裂による出血であり、これは脳の血管の壁が弱くなり、圧力によって瘤(こぶ)が破れることで発症します。
症状と診断
突然の激しい頭痛(バットで殴られたような痛み)、吐き気、高度の意識障害などが典型的な症状ですが、一方で頭痛がそれほど強くない場合もあります。診断にはCTやMRIといった画像検査が必須となります。
治療法
入院による早急な治療が必要です。治療は手術が一般的であり、再出血を防ぐためにも迅速な対応が求められます。
脳腫瘍
原因
脳腫瘍は脳内にできる腫瘍ですが、その原因の多くは明らかとはなっていません。脳腫瘍には良性のものと悪性のものがあります。
症状と診断
初期には無症状なことも多いですが、腫瘍が大きくなると頭痛や腫瘍が存在する部位に応じた神経症状をきたすようになります。MRI検査で診断されることが一般的です。
治療法
腫瘍の種類や位置によって治療法が異なります。手術、放射線療法、化学療法などが選択される場合があります。良性腫瘍の場合、経過観察となることもあります。
髄膜炎
原因
脳の表面を覆う髄膜に細菌やウイルスなどの病原体が侵入することで炎症をきたす疾患をいいます。炎症を起こす原因は病原体による感染性だけでなく、免疫の異常である自己抗体や悪性腫瘍が原因となる非感染性のものもあります。
症状と診断
急性の経過で発熱、頭痛、嘔気を呈するのが一般的ですが、重篤になると意識障害を来たします。速やかに医療機関を受診し、髄液検査等による精密検査が必要です。
治療法
原因によって治療法が異なります。細菌性であれば抗生剤、自己免疫が原因であれば点滴にるステロイド治療などが行われることがあります。頭痛に対しては対症療法的に鎮痛剤を用います。
脳動脈解離
原因
脳動脈解離は、何らかの要因で脳の血管の壁が裂けることによって起こるものを言います。頭痛のみの場合もありますが、血管自体が破けるとくも膜下出血を、血管の裂け目に血栓が形成され血管が狭くなることで、脳梗塞を二次的に発症することがあります。
症状と診断
脳のどこの血管が裂けるかで症状は異なりますが、日本人では椎骨動脈という血管の動脈解離が多く、その場合は急に後頭部から後頚部(首の後ろ)の強い疼痛を認めるとが多いです。診断にはMRIや血管造影による検査が必要となります。
治療法
頭痛のみであれば対症療法で自然に回復することが多いですが、くも膜下出血や脳梗塞を併発した場合は、それらに準じた治療が必要になります。
本文監修:副院長 金子 厚