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パーキンソン病

パーキンソン病とは?

パーキンソン病は、脳の異常によって、主に運動機能に障害を引き起こす進行性の病気です。日本では約20万人のパーキンソン病患者さんがいるとされており、その多くは高齢者です。
発症年齢の中央値は60歳前後ですが、年齢とともに患者数が増加し、日本では70歳以上の高齢者の100人に1人はパーキンソン病であると推計されます。
原因は完全には解明されていませんが、脳内でドーパミンを生成する黒質という部位の神経細胞の減少が関与していると考えられています。

パーキンソン病の初期症状

パーキンソン病の初期症状には、動作緩慢(動作が遅い・小さい・少ない)に加えて、手足の震え(振戦)、筋肉のこわばり(筋強剛)、小刻み歩行などがあります。これらの症状は左右非対称に現れることが多く、片側の手や足から始まることが一般的です。

物を持つ手が震えたり、歩行中に片足を引きずるような動作や一歩目が出しにくいなどの症状が見られることもあります。また、文字を書く際に字が小さくなるのも初期にみられる症状です。これらの症状は緩やかに進行するため、初期段階では気づきにくい場合があります。
このほか、顔の表情が減少する仮面様顔貌(表情筋の動きが乏しくなる)も特徴的です。これにより、感情の表現が難しくなり、コミュニケーションに支障をきたすことがあります。

上記の症状が一つでも当てはまる場合は、まずはお近くの脳神経内科がいる医療機関を受診して診察を受けるようにしましょう。

多岐にわたるパーキンソン病の症状

パーキンソン病では、上記の様な運動症状だけではなく、うつ病や認知機能障害、幻視といった精神症状に加えて、便秘や頻尿、発汗障害、起立性低血圧などの自律神経障害、睡眠障害(不眠、REM睡眠行動異常症)、嗅覚低下などの症状があらわれる場合もあります。上記の症状のことを運動症状と対比してパーキンソン病の非運動症状と呼びます。
これらの症状のいくつかは運動症状を発症する前や発症早期からあらわれることもありますが、病気の進行とともに顕著になっていきます。非運動症状は生活の質を大きく低下させるため、包括的なケアが必要となります。

病気が進行していくと歩行時のバランス障害や姿勢の不安定性も目立つようになり、これによって転倒リスクが高まり、日常生活に大きな影響を与えます。
さらに病気が進行すると車椅子での生活を余儀なくされ、嚥下障害があらわれることもあります。

パーキンソン病の治療

パーキンソン病の治療は、薬物治療と運動療法、リハビリテーションがメインとなります。

パーキンソン病の薬による治療および薬の副作用

パーキンソン病の薬物治療には主に、ドパミン補充薬(レボドパ)やドパミンアゴニスト(ドパミンに似た作用をもつ薬)などが用いられます。これらの薬物は、運動症状の改善に効果的ですが、長期使用による副作用もあります。例えば、レボドパは初期には高い効果を示しますが、使用期間が長くなると薬効の持続時間が短くなり、薬が効いている時間とそうでない時間に極端な差が出てくることがあります。
ドパミンアゴニストは、ドパミン受容体に直接作用し、運動症状を改善しますが、幻覚、妄想、眠気などの副作用が発生するリスクがあります。これらの副作用は、高齢者や認知症を有する患者では特に注意が必要です。

その他の薬剤としてレボドパの作用を増強する補助薬や非ドパミン系の薬剤を用いることがありますが、使用する薬剤は患者さんの状態に応じて異なります。

治療の効果を最大化し、副作用を最小限に抑えるためには、薬物の種類や投与量、タイミングを個別に調整することが重要です。そのためには定期的な医師の診察とモニタリングが欠かせません。

パーキンソン病の運動療法、リハビリテーション

リハビリテーションと適切な運動は、パーキンソン病の症状管理において非常に重要です。リハビリテーションは、筋力やバランスを維持し、動作のスムーズさを向上させることを目的としています。理学療法士の指導の下で、個々の症状に応じたプログラムを作成し、定期的に実施するのが一般的です。

リハビリテーションには、ストレッチや筋力トレーニング、歩行訓練などが用いられます。これにより、関節の可動域が広がり、転倒リスクが軽減されます。
また、ヨガや太極拳などの柔軟性とバランスを強化する運動も効果的です。

さらに、定期的な有酸素運動(ウォーキングやサイクリング)は、心肺機能の向上だけでなく、脳の健康にも良い影響を与えます。ある研究によれば、運動はドパミンの分泌を促進し、脳の可塑性を高めることが示されています。

当院ではパーキンソン病の患者さんに対するデイケア(通所リハビリテーション)も数多く経験しております。
ご興味をお持ちの場合はお気軽にご連絡ください。

パーキンソン病が疑われる場合早めの受診を

現時点でパーキンソン病を完全に治す治療法はありませんが、薬物療法やリハビリテーションによって症状の進行を遅らせ、生活の質を向上させることが可能です。

パーキンソン病では動作緩慢や歩行障害、便秘、頻尿などの高齢者でよくある症状が診断のきっかけとなることがあります。典型的なパーキンソン病の患者さんであれば、脳神経内科を専門としている医師にとっては診断はそれほど難しいものではありません。しかし、中にはパーキンソン病との鑑別(違いを区別する)が困難な病気もあります。
気になる症状がある場合は、お近くの脳神経内科のいる医療機関を受診し、詳細な神経学的評価や画像診断を通じて、他の類似疾患との鑑別をしてもらうようにしてください。

また、パーキンソン病と診断され、病状が安定している方であれば、かかりつけ医への通院でも問題ない場合もありますが、可能であれば脳神経内科専門医のいる医療機関での継続的なフォローアップをおすすめします。
当院では、パーキンソン病と診断された患者さんに対して定期的な診察を通じて症状の進行を評価し、患者さんごとに最適な治療を提案しております。
また、理学療法士などのリハビリテーションの専門家ともチームを組んで包括的なケアを提供し、患者さんの生活の質を向上させることを目指しています。

パーキンソン病が疑われる場合は、ぜひ当院にご相談ください。

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